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検査の目的

血清又は血漿中、及び尿中の無機リンを測定することでリン代謝異常の診断を行う。
細胞内無機リンの大部分は有機リン酸化合物として存在するが、血液中では大部分が無機Pである。通常、血中で測定するのは無機Pである。高度の低P血症は細胞内有機リン酸化合物の合成障害などをきたし、各種の細胞機能の障害をもたらし高度の高P血症は異所性石灰化などをきたす。無機Pの代謝はCa調節ホルモンの影響を強く受けることから、血清Ca、血清PTH、腎尿細管機能(糖尿,アミノ酸尿)、酸塩基平衡、あるいは血中ビタミンD代謝物などを併用することにより病態を把握できる。

検査に用いられる手順の原理及び測定法

検体中の無機リン(IP)は、マルトースホスホリラ-ゼ(MP)によってマルトースと反応し、グルコースとβ-グルコース-1-リン酸を生成する。次に、β-グルコース-1-リン酸はグルコース-1,6-二リン酸の存在加下、β-ホスホグルコムターゼ(β-PMG)によりグルコース-6-リン酸になる。このグルコース-6-リン酸はNAD+の存在下、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)によって6-ホスホグルコン酸になる。この反応によりNAD+はNADHに還元され、このNADHの吸光度を測定することにより無機リン量を求めることができる。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 血清、血漿:2.4~4.6mg/dL
 蓄尿:0.5~1.0 g/day

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

 8.0mg/dL以上

臨床的解釈

リンは体内に600g程度存在し、約85%はヒドロキシアパタイトとして骨に蓄積されている。残りはATPなどとして細胞内に存在し、細胞外液中には約500㎎程度存在するのみである。1日リン摂取量は約800~2000㎎であり、ビタミンDの存在下において腸管からの吸収が亢進する。排泄は腎で調節されており、副甲状腺ホルモンと活性型ビタミンDにより腎でのリン再吸収が低下する。近年、繊維芽細胞増殖因子23がリン利尿を促す物質として注目されている。さらに、成長ホルモンやインスリン、IGFなどの調節も受けている。
したがって、主要な排泄経路である腎に異常がある場合やホルモン異常、溶血や腫瘍崩壊などによる細胞崩壊や細胞内への取り込み増加を起こすような病態、摂取や吸収の異常でリン濃度が変化する。
2.3㎎/dL以下の場合に高頻度に疑われる病態は、アルコール多飲者、低栄養、インスリン作用(特に糖尿病性ケトアシドーシス時)、アルミニウム・Mg含有制酸剤、原発性副甲状腺機能亢進症である。可能性のある病態は、ビタミンD欠乏・作用不全、くる病、腫瘍性骨軟化症、Fanconi症候群、特発性高Ca尿症、吸収不良症候群、慢性下痢、敗血症、カテコールアミン過剰、hungry bone syndrome、カルシトニン投与、薬剤性(ステロイド、シスプラチン、シクロスポリン、フェジンなど)である。
4.3㎎/dL以上の場合に高頻度に疑われる病態は、腎不全、副甲状腺機能低下、脱水、ビタミンD中毒、ビスホスホネート製剤内服、溶血、横紋筋融解、アシドーシス、甲状腺機能亢進症、異化亢進である。可能性のある病態は、悪性高熱症、腫瘍崩壊、偽性副甲状腺機能低下症、大量保存血輸血、成長ホルモン過剰症である。

可能性のある変動要因

高γグロブリン血症、高ビリルビン血症、高脂血症では偽性高P血症が起こるため、判読には注意が必要である。血清リンは小児で高く、また日内変動があって午後に高い傾向がある。さらに、食事や運動による影響を受けるため、決まった時間・条件での測定が望ましい。


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